開会(総合司会:江原英幸)

司会:ただいまより、2011年度「30歳の成人式 in 与謝野」を開式いたします。本日、総合司会を務めさせていただきます、与謝野町30歳の成人式実行委員会副委員長の江原英幸と申します。どうぞ宜しくお願い致します。

皆様には案内状などでお知らせしてきましたが、開式に当たりまして、改めて、本イベントの趣旨を説明させて頂きます。
30歳という年齢は而立(じりつ)という節目の年です。皆様も、仕事や家族・子どもなどを通して、何らかの形で社会にたいして、受け身ではない積極的な参加をされ始めていることと思います。20歳の成人を迎えてから10年の歳月が経つ中で、我々は、「大人」としての自覚を持ち、「大人」として振る舞うことを求められています。

30歳をいまの時代の「新たな成人」としてとらえて、スタートしたのが「30歳の成人式 in 与謝野」です。今では国内外に散り散りに暮らしている同級生や、与謝野町を「大切なホーム」と感じている同世代が一堂に集まり、交流や飲食を楽しむなかで、わたしたちの町の未来について考えてみる。今日という日がそんな一日となればうれしく思います。

簡単ではありますが、以上で本実行委員会より趣旨説明とさせて頂きます。

さて、早速ではありますが、我々新30歳を代表して、旧岩滝町出身の前野達弥君より挨拶をして頂きます。では、よろしくお願いします。

新30歳代表挨拶(前野達弥)

前野達弥:ただいまご紹介にあずかりました、前野と申します。私は旧岩滝町の出身で、30歳の成人式の言い出しっぺのひとりである山添藤真くんと、小中高同じ学校に通った仲間です。今は東京に住んでいますが、社会に出てからも、藤真くんとはつながりがあり、今回、ここに立たせていただく機会を得ました。ありがとうございます。30歳の成人式、代表のあいさつにあたりまして、わたしたちが迎えた30歳、そして30代という年代が、どうあるべきか、わたしなりに考えました。とても偉そうな内容もありますが、僭越ながら、その想いを述べさせていただきます。

その前に、つい最近まで私たちがいた、20代という期間がどうだったのか、振り返って考えてみます。それぞれでいろんな20代を送ってきたでしょうから、一言では言えませんが、どうにかこうにか、社会人として歩き始め、そして歩けるようになってきた時期だったのではないでしょうか。わたし自身も、まわりからの具体的な指示や教育を受けながら、動いていく、そういう受け身の段階だったように思います。

一方、私たちが迎えた30歳、30代はどうか。

案内状にもありましたが、三十にして立つ、つまり自立をする節目の年、でもあります。なるほど、地域でも職場でも、一人の大人として自立することが求められていることは、みなさんも、普段の生活の中で実感していることでしょう。

でもここで、わたしの中ではもう一つの言葉が浮かんでいます。

それは“自律”です。これは単に自制するとか、遠慮するとかそういったことではありません。まわりからのお仕着せではなく、自分の人生、生き方を謙虚にみつめる、そして自らが目的を定めて、未来を選びとっていくという意味で申しています。といいますのも、30代になりますと、周囲からは20代のときとは違った期待のされ方をします。職場でも一定の経験と立場を得てきます。その他いろいろな社会の習慣やルール、仕組みの中に、否が応でも組み込まれます。それは悪い意味で「大人」になることが要求されるということじゃないでしょうか。それにただ従っているだけだと、それまで続いてきた既存の枠組みに組み込まれ、前例や慣例に安住してしまいかねません。それは、自分で律すると言うよりも、他からコントロールされているという状況でしょう。

これからのわたしたちはそうではなくて、“自律”の意識をもって行動していかねば楽しくない。そんな風に考えています。これは個人も、組織も、そしてわたしたちのふるさとのようなまちや地域でも、同じことだと思うんです。それまでやられてきたことを、ただ盲目的に続けるだけでは、元気は生まれません。地元の活性化、ぼくらが騒げば世界がかわる。案内状でもキーワードとして書かれていました。

そのために必要なことは、まちが、そしてわたしたちが自律して、創造性を持ち続けること、つまり新しい価値を生み出していくことではないでしょうか。わたしたちは有限な存在で、必ず変化が起こります。そんなわたしたちによって構成されるまちも、社会も、絶えず変化していきます。そうした変化には、意図せずして起こるものもたくさんあります。でもその変化に柔軟に対応するために、さらには自分たちが主体的に価値のある変化をもたらすためにも、創造性を持ち続けることが、強く私たちに求められています。

では、常に創造的であるために必要なことは何か。

それは多様性です。わたしたちが、多様な価値観を許容する開かれた心を持ち、それらが結びつきあって初めて、そこから新しく価値のあるものが生まれてくるはずです。

三人寄れば文殊の知恵、ということわざは、多様性の力をわたしたちに教えてくれます。
それができれば、時代の変化に翻弄されることなく、わたしたち自身の手で幸せな未来を選びとっていけると信じています。

今日は、わたしたち30歳を迎えた者にとって、わたしが大切だと考えていることを3つ挙げました。自律の意識、創造性、多様さを許容する開かれた心です。これを持ち続けることは簡単なことではありません。でもこれがあれば、楽しい人生間違いなしです。そして一人一人がそうであれば、わたしたちの与謝野町も、わたしたちの社会も、より住みよく、すばらしい場所になっていくと信じています。

最後になりましたが、今回、この場をつくってくれた友人たちに感謝します。そして、わたしたちを支えてくださっている与謝野町の皆様にも感謝いたします。想いと願い、誓いを込めて、代表の挨拶とさせていただきます。私たちの人生を主体的に選びとり、創造的な社会をつくり上げていきましょう。

ありがとうございました。

平成24年3月24日 新30歳代表 前野達弥