同世代の政治不信について

野村:まずですね、本日4人いらっしゃるパネラーのうち、国政、地方という違いはありますが、3人が30代の「政治家」であられます。この30代というのは、政治不信が相当極まっている世代だと思います。私たちの目の前に人生の諸先輩方がいらっしゃるので言いにくいのですが、現在の日本政治状況は「シルバー民主主義」と言われています。高年齢者の方々の人数(絶対数)が多い中で、たとえ私たちが「こうしたい」と思ったとしても、どうしても数の論理で跳ね返されてしまう状況が否応なく存在しています。

けれど、こうした状況の中で「やっぱり政治に参加したい、コミットしていかなければならない」と私たち若い世代が思うにはどうしたらいいのか。このような問いを政治家のみなさんにお訊きするのはある意味ナンセンスかとも思いますが、お答えいただけたらと思います。

小原:さきほど自己紹介の中で横粂議員もおっしゃられたのですが、この仕事をしているとなかなか若い方と交流する機会が持てないという現状があります。集会を開いても年金をもらわれている高齢者の方が多く、なかなか若い方の声を聞くことができません。

ここにどうやってメスを入れていくのかと言うことですが、これは精神論にしかならないかもしれませんが、とにかく自分から声をかけることにしています。このような機会があれば参加させて頂きたいですし、自分から積極的にそのなかに飛び込んでいくことが大切だと思います。

私はまだ独身ですけれども、同じ世代ということで、子育てをすることがどれだけ大変かという話や、切実な思いなどを聞かせて頂いています。そのような思いや声を政治につなげていくことが自分の役割だと思っています。

あと、今はネット社会ですし、最近はフェイスブックをはじめました。そうすると、同級生や地元の方が友達になってくれて自分の政治活動などを発信できますし、意見をくれたりします。そのようなツールも使いながら、課題に取り組んでいきたいと思います。

横粂:私もなかなか若い方に対して政治に興味を持って下さいと言っても距離を感じてしまいます。このように同級生に対してでも、若干の距離を感じますし難しいなと思います。同級生となると主婦になられている方や会社のなかで後輩も出来てきてかつ先輩もいて一番忙しい、ここ数年の働きで自分の人生設計も変わってくる、マイホームも買おうかどうしようかというところで、政治なんかに捕われている、政治なんかに興味を持っている時間なんてないかもしれないと思います。でも、やはり政治というものは人生で必ず関わっていくことです。お子さんがいらっしゃる方であれば、保育所、幼稚園、または大学に行って、お金がこんなにかかるのかということを思われるかもしれません。主婦の方にとっても、サラリーマンの方にとっても、政治ってこんなふうになっているんだ、なんかおかしいなと思われる瞬間は必ずあると思っていますので、やはり政治に興味を持って関わってほしいなと思います。

その一番の関わり方のひとつは投票に行くことだと思います。または自分たちの仲間から一人出してしまうというのも有りだと思います。自分で立候補ができないのであれば、誰かに託すことしかないと思います。メンツを見てこの人達ではダメだなと思ったら、友達を出させる、その人に何かやらせる、政治はマツリゴトであって、例えばこの与謝野町で何かやることをこの場で決めてしまい、あいつに押し付けて、あいつに実現させよう、そしてみんなで選挙を応援して勝たせて、条例や政策をひとつでも通して引退させよう、次は俺だ、でもいいと思います。政治に出る、投票に行く、仲間を出す、なんらかの形で政治に関わっていってほしいと思います。

吉岡:私は政治家ではありませんし、みなさんと同じ普通の住民です。政治という時に一番ネックになっていると思うのは、政治のことが「基本的に分かりづらい」ということだと思います。KYTで議会を見ていても分からない。言葉使いやその情報のことを分からず、疑問点ばかりが浮かびますます遠ざかっていくのかなと思います。

私は青年会議所活動を通して、できるだけ懇談会などには行くようにはしているんですが、なかなかのところがあります。おそらく、議会の方であれば行政や住民、行政の方であれば議会のことが分からないのではないかと思っています。お互いに意思疎通が図りにくい立ち位置にいるのかなと思います。このように分からないことから不信などが生まれてくるのかなと思います。やはり信頼を得ることが大事だと思っています。信頼を得ようと思うと何をされているのかが分からないと信頼することはできないと思います。議会のことなどを全部知ろうと思うと物理的に無理だと思います。言い訳になるのかもしれませんが、私も家庭があり仕事があり時間的にも経済的にも余裕がなかったりします。時に質問をしたりすると、そんなことも分からないのか言われたりするかもしれません。代表的なこと、大きな議題のことだけ説明をしてもらえて、私たちがそれぞれの過程を理解することができれば、あとは自分たちが投票して選ばれた代表者に想いを託せるのかなと思います。と同時に、お願いした以上はその負担も自分たちが背負わなければいけないのかなと思います。

もう一つ、今、決めて頂いていることは5年後10年後20年後の話、わたしたちが40代50代になる頃の町の動きだと思うので、青年会議所でも何らかの形で取り上げていきたいと思っています。

山添:私は与謝野町の石田区という自治区で暮らしています。おそらく、皆さんもどこかの自治区、町内会、隣組に属されているのかなと思っております。みなさんは政治をとても大きなものだと思ってらっしゃるかもしれません。私はそのように考えておりません。

例えば、ある自治区の、ある自治会の、ある隣組の行事に参加する、寄り合いに参加する、そのようなことを含めて、私は政治と呼べるのではないかと考えています。この中の多くの方がそれぞれの自治区の祭の練習を始められたかもしれません。自治区の祭などに参加していくことから、政治を身近なものに感じることができるようになっていければいいのかなと思います。

野村:皆さんありがとうございます。日本ではあまりないのですが、選挙に行く時に「この人には投票するな運動」というものが諸外国にはあると思います。日本ですと品がないだとか言われるのかもしれませんが、あれはあれで結構大切なことだと思います。

嫌なやつを落とすこともできる、そういったいろんなアクセスの仕方があってもいいと思うんですが、やはり「基本は選挙(投票)」ということが言えると思います。通り一遍なことになりますが、政治家のみなさんは選挙に行こうよということをよく言われるわけです。けれどもやはりそれが大切なことだと思います。



パネリスト&司会プロフィール(敬称略。2012年3月末時点)

  •  小原 舞

    衆議院議員。民主党所属。2009年の第45回衆議院議員総選挙で初当選。公式サイトはこちら

    •  横粂 勝仁

      衆議院議員。弁護士。新党「改革の志士」代表。2009年の第45回衆議院議員総選挙で初当選。公式サイトはこちら

      •  吉岡 宗典

        2011年の宮津青年会議所理事長。土地家屋調査士。吉岡宗典登記測量事務所所長。

  •  山添 藤真

    2011年度30歳の成人式実行委員会の委員長。京都府与謝野町議会議員。2010年与謝野町議会議員選挙で初当選。公式サイトはこちら

    •  野村 歩

      「30歳の成人式推進委員会」メンバー。プランナー。地域活性化への寄与を目的とする合同会社プブリカ共同代表。